法律で禁じられていることから公務員が副業を行ってはいけないということは多くの人が知っていてます。
しかし、今、その常識といっても過言でないことが覆ろうとしています。
近年、公務員に副業を解禁する動きが出始めているのです。
2018年6月には政府は国家公務員の兼業…つまり副業を正式に認める調整に入りました(未来投資戦略2018)。
背景には、政策・法律の知見を民間でも活用し、地域の活性化に役立てるといったことや、民間で働かせることで経験を積ませて視野の広い官僚を育てることが目的にあるようです。
ただし、副業を認めるといっても営利企業の役員就任や自営業の経営などの営利目的のものは認められず、NPO法人や非政府組織(NGO)などの「公益的活動」を目的としたものに限るとのことです。
限定的ではあるものの公務員の副業が解禁されるのは大きな動きではないでしょうか。
具体的にどのような副業が公務員に認められるようになるのか
「公益的活動」を目的としたものとありますが、では一体、どのようなものが具体的に副業として認められるのでしょうか。
まずは公益的活動という言葉をひも解いてみます。
公益活動とは広く社会一般の利益のための活動のことを指し、以下の三つの主体によって行われている活動のようです。
- 行政という公的な機構を通して行われる国民全般の福祉を図る公的活動
- 企業による商品やサービスの提供という営利活動の結果として間接的に図られる福利増進活動
- 行政でも企業でもない私的な機構ではあるが、利潤追求を目的としない組織を通して直接に社会福祉や文化の向上を目指す社会的活動
つまり、今後、公務員の副業が認められるのは利益を伴わないことが前提の福祉活動である以下のような活動が対象といえます。
- 地域のゴミ拾いなどの美化活動
- 高齢者や障碍者が住民と交流を行うことを目的とした祭りやイベント
- 地域の防犯活動
- 子育て中の者が互いに交流を持つためのイベント
一般的に副業と呼ばれるもののイメージとは違って、どちらかといえばボランティア活動に近いものがあるかもしれません。
先駆けて公務員の副業解禁を実施している自治体
実はこのような動きがある以前に、公務員の副業解禁を先駆けて実施している自治体があります。
兵庫県神戸市と奈良県生駒市の自治体です。
兵庫県神戸市の自治体では「地域貢献応援制度」によって「NPO法人などで一定の報酬を得ながら活動ができる」といったことを公務員の副業として解禁しました。
この背景には、阪神大震災からの復興を進める上での人手不足や高齢化などの問題が生じている事情があるようです。
この兵庫県神戸市の自治体に追随したのが奈良県生駒市の自治体です。
公務員の地域活動への参加を促すために、地域活動への参加を人事評価の対象に加えたけれど思った成果が出ず、そんな中、兵庫県神戸市の自治体から「地域貢献応援制度」の発表があったので参考にしたとのことです。
また、この後に宮崎県新富町の自治体が、NPOなど公益性の高い活動であれば職員が給与とは別に報酬を得て働くことを認める新たな制度を導入しています。
以上のように、徐々に公務員の副業解禁の動きは広まっています。
もしかすると本当に近い将来、胸を張って営利目的のものであっても副業として手を出すことができるようになるかもしれませんね。