公務員が副業としての不動産投資を行うことは

副業が叫ばれる空前絶後の副業ブームといっても過言でない昨今ですが、どうせ公務員だから…と自分には関係ないと思って損をしていないでしょうか。
確かに公務員は副業をすることを法律で禁じられています。
禁じられているのは以下のことを防ぐことが理由となっていて、法律もそのことに則ったものとなっています。

  1. 健康を崩して本業である全体への奉仕に支障が出ることを防ぐため(職務専念)
  2. 本業で得た秘密情報が流出することを防ぐため(秘密保持)
  3. イメージのよくない副業を行うことで世間から信用を失うことを防ぐため(信用確保)

それなら上記に該当しないものなら許されるのでは…
また、公務員が副業を行うことを禁止する根拠となっている法律においても、以下の国家公務員法第104条において、許可を得ることができれば副業は認められることが明記されています

国家公務員法第104条 他の事業又は事務の関与制限
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

このように公務員が許されるとされている副業の一つ、不動産投資について今回は解説していきます。

副業として許される不動産投資、許されない不動産投資

さて、不動産投資は公務員に許される副業の一つなのですが、実は過去に公務員が副業で不動産投資を行って懲戒処分となったケースがあります。

名古屋市の市交通局所属のバス運転手として働く当時40歳の男性ですが、職場から副業の許可を得ないで民泊を営業していました。
その行っていた不動産投資では、2015年10月から2017年2月までの約1年5カ月間に渡って名古屋市中区にあるマンションの2室を借りて民泊を営業し、計約830万円の売上を得ていたということです。

ちなみにこの男性は、減給10分の1(6日)の懲戒処分となりました。

不動産投資は公務員が許される副業の一つだったのでは…

この男性が行っていたのは公務員が副業を行う以前に旅館業法における営業許可を得ていない「ヤミ民泊」だったのですが、それを抜きにしても実は公務員が副業を行うためのルールから外れています。

まず、公務員が副業として不動産投資を行うに当たっては売買差益(キャピタルゲイン)を狙っての投資が、明らかに営利目的での行為なので公務員が国民および国家に対する全体への奉仕者という性質上、禁止されています。
公務員が許される副業は家賃収入などのインカムゲインなものに限られます。

この点においては名古屋市の男性職員はクリアしていました。
しかし、この男性がNGとなったのは以下のいずれかの条件を満たしている物件からの副収入であった場合、副業の許可が必要であった点です。

  1. 独立家屋の数が5棟以上
  2. 貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上
    3, 10件以上の土地の賃貸
  3. 娯楽や遊戯のための設備がある不動産
  4. 月極などの駐車場の場合、駐車台数10台以上の駐車場
  5. 建築物である駐車場または機械設備がある駐車場
  6. 賃貸収入が年間500万円以上の不動産または駐車場の賃貸

また、これらの条件を満たす物件を取り扱う場合は、先に挙げた公務員の職務専念のルールから、不動産業者に管理をしてもらう必要があるようです。

なお、裏を返せば、上記7つの条件のいずれも満たさない物件からの収入であれば許可を得ないで経営することができ副収入を得ても問題がないということです。

公務員が不動産投資を始めやすい理由

公務員の副業としての不動産投資について説明をしてきましたが、実は公務員には不動産投資を始めやすいというアドバンテージがあります。

通常、不動産投資を始めるにはお金が必要となりますが、公務員の場合、このお金が必要という始めるに当たっての敷居が低いのです。
なぜなら、公務員という職は民間の企業よりも圧倒的に安定した職業であるので、お金を借りるための与信が高いからです。
なお、与信とは、金融機関や消費者金融会社の融資や融資枠、支払承諾(保証)等の供与や、クレジットカード会社の利用可能枠(ショッピング枠、キャッシング枠)の供与などをいいます。

ちなみにこの与信ですが、公務員であればどの職種であっても与信に関しては大きな差はないようです。

多くの場合、不動産は圧倒的コストがかかるため、投資資金を用意することができずに断念することが多いのですが、その点、公務員は多くの職業よりも有利に始められるといえるでしょう。